〈工場見学〉つみきソファができるまで
その中にはウレタンがぎっしり詰まっていて、木材や金具を使わず壊れにくいので「ウレタン10年保証」対象にもなっています。
そんなつみきソファを丸裸にすべく、素材と構造と製造工程を大公開!
素材が職人たちの手によりソファになる工程を、どうぞ、遠足で工場見学に来た気分でご覧ください。
予習:素材と構造のこと
中材はバネや木枠を使わず、ウレタンのみで製造しています。
座面と背もたれはパーツが分かれていて、座面に背もたれを載せるだけの設計です。そのため、背を壁に付けて設置しない場合は、背もたれパーツを支える「サポートフレーム」が必須となります。
中材…ソファの中身。カバーをかける前の状態のもの。
ソファの製造工程①
ウレタンの下張り
種類の違うウレタンを合体させます。
ウレタンを接着する工程のことを「下張り」と呼びます。
吹き付けた接着剤の量や位置を確認できるよう、接着剤は緑色に着色されています。
写真下側の柄っぽいウレタンは、ウレタンの端材を固めて作られた「チップウレタン」。
耐久性と弾力性が高く、座面と背もたれのコア(中心)部分に使用します。
チップウレタンだけでは硬すぎるので、写真上側の白いウレタン、「スラブウレタン」を上に重ねます。
「スラブウレタン」はクッション性が高く柔らかいのが特徴です。
「チップウレタン」は空気に触れることで劣化しやすくなるため、接着剤でしっかり、ぴったり、隙間が生じないように「スラブウレタン」で覆います。
座面と背もたれの裏面に「ニードル式不織布」を貼ります。
ここにソファカバー側のマジックテープ貼ることで、ソファカバーと中材を固定できるようになります。
この素材は通気性が高く、湿気に強く、中材の内部に湿気がこもりカビが発生するのを防ぎます。
※ 2020年7月より、裏面の素材を「ループパイル材」から「ニードル式不織布」に仕様変更しました。このページに掲載している写真は「ループパイル材」を使用しています。
ソファの製造工程②
生地のキルティング加工
ソファカバーになる生地にキルティング加工を施します。
ところ変わって、こちらはソファカバーの製造工程です。
まずは、生地と裏地の間に綿を挟んで縫製する「キルティング加工」を施します。
キルティング加工を施すことで、生地にボリュームが出て座り心地が柔らかくなり、生地がよれにくくなるためカバーの耐久性も上がります。
この機械は40年以上の年代物で、日本にはもう数台しか残っておらず、マニュアルもありません。さらに季節や湿度、生地と糸の相性によりコンディションが変わってしまうほど繊細です。
操作やメンテナンスが非常に難しく、この工程に携わる職人たちは様々な試行錯誤を何度も繰り返したとのこと。
「大変ではあるけれど、機械の調子が出た時は涙が出るほど嬉しい」と話してくださいました。
新しい機械を導入すれば、手が掛からずメンテナンスも楽になるかもしれませんが、古い機械を長く使い続けることで環境保全や商品のコストダウンに繋がると考え、今も大切に使い続けています。
職人曰く「この機械は手のかかる生き物のよう」。
様々な理由はあれど、シンプルに仕事仲間としての愛着もあるのでしょう。この工程に職人の心がこもっているのを感じる印象的な言葉でした。
ソファの製造工程③
生地の裁断
キルティング加工を施した生地を機械で裁断します。
裁断した生地のキルティングのラインがまっすぐになるよう、スタート位置に気を付けてセッティング。
裁断しやすいように一度バキュームでぺたんこにします。(ぺたんこすぎるとキルティングのラインが見えなくなってしまうので、調整しながら)
起毛している生地は、毛の流れる方向にも気を付けて。
座面は手前から奥に向かって毛が流れるように、背もたれは上から下に向かって毛が流れるように、座る瞬間に摩擦が起きない毛流れになるよう裁断しています。
キルティングが入った生地の裁断は難しく、以前は手作業でカットしていましたが、キルティング生地を使用したソファの人気が高まったことを受け、作業効率を上げるために機械化することに。
職人たちが機械の設定を微調整しながら試行錯誤を繰り返し、今はきれいに、かつての1/3の時間で裁断できるようになったそうです。
製造工程④
生地の縫製
裁断した生地をカバーに仕立てます。
キルティングの糸のほつれを防止するため生地の端をすべて縫い合わせ、オーバーロック(布の端がほつれないようにする「かがり縫い」のこと)をかけます。
※ 2019年9月より、オーバーロックをかけるよう仕様を変更。
パーツをつなぎ合わせて、ソファカバーに仕上げます。
キルティング加工を施せる生地の大きさの限度により、本体サイズがW1400mm以上のつみきソファは、座面と背もたれの中央に生地のつなぎ目が入ります。
つなぎ目が目立たないよう、キルティングの縫い目の幅に合わせてカバーを縫製しています。
ソファの製造工程⑤
上張り
完成した中材に、完成したカバーを取り付けます。
ソファの仕上がりに関わる大事な工程なので、検品を兼ねて、糸の飛び出しがないか、縫製がきれいか、細かい部分をチェックしながら作業を進めていきます。
まずはウレタンの保護のためのインナーカバー(上記写真の白いカバー)を取り付け、その上からソファカバーを被せます。
座面と背もたれ、それぞれの裏面にカバーのマジックテープを張り合わせて、中材にカバーを固定させてソファの完成です!
カバーを引っ張り過ぎると、カバーを傷めることになり、ソファの仕上がりも少しいびつになる。
引っ張りが弱いと、座面にカバーが余ってパンっと張らず仕上がりがきれいにならない。
絶妙な力加減で、ソファ裏面にソファカバーのマジックテープを少しずつ貼り合わせていきます。
ソファの製造工程⑥
検品・梱包・配送
梱包直前の状態を写真で記録し、梱包します。
チェック項目は以下の通り。
・キルティングのラインが真っ直ぐになっているか
・キルティングのラインが背と座で合っているか
・カバー中央の生地の縫い合わせ部分が、キルティングの縫い目の幅と合っているか
・ニードル式不織布(ソファ裏面の素材)の接着が甘く無いか
・キズ、汚れ、いびつな部分が無いか
・生地に匂いが付いていないか
・注文内容とソファのサイズ、数、生地が合っているか
確認後、ソファの状態を写真で記録し、梱包し、段ボールに送り状を貼って、あとは配送業者さんのお仕事です。
つみきソファはウレタン10年保証対象ソファ。これから長く、お客様の暮らしに寄り添えますように!
(取材&文:水嶋美和 撮影:森岡祐加 / 2020年3月)
※ 製造の効率化や商品改良のため、商品の仕様を適宜に変更しております。座り心地が変わる、デザインが変わる、価格が変わるなど、影響の大きい仕様変更を行う際はHAREMのHPにて詳細を掲載いたします。