〈工場見学〉スキップ1ミニソファができるまで
その現行モデルが、HAREMで取り扱う「SKIP 1 MINI SOFA(スキップ1ミニソファ)」です。
「SKIP」時代から見れば40年以上の歴史を持つこのソファ。
中はウレタンだけで作られていて、この座面の薄さながら耐久性が高く、「ウレタン10年保証」対象でもあります。
そんな長く愛されるスキップ1ミニソファはどのように作られているのか。工場見学気分で製造工程を追っていきましょう!
予習:素材と構造のこと
4cmの厚みの座面には、コア部分に「チップウレタン」を使用し耐久性と弾力を高め、「スラブウレタン」とカバーの「キルト綿」で座り心地に柔らかさをプラスします。とはいえ、座り心地は結構硬め。
座面パーツと背もたれパーツは最後にファスナーで繋ぎます。
素材ごとの役割はこちらから
中材…ソファの中身。カバーをかける前の状態のもの。
ソファの製造工程①
下張り
種類のウレタンを合体させ、カットします。
ウレタンを接着する工程のことを「下張り」と呼びます。
吹き付けた接着剤の量や位置を確認できるよう、接着剤は緑色に着色されています。
厚みの違うウレタンをきれいに貼り合わせるのは難しく、職人の技を要します。
スキップ1ミニソファ(L型)の背もたれの中材は、斜めにカットしたウレタンを2つ接着して作ります。
スキップ1ミニソファの背もたれの構造がよく分かる断面です。
内側の柄っぽいウレタンは、ウレタンの端材を固めて作る「チップウレタン」です。
耐久性と弾力性が高いため、座面と背もたれのコア部分に使用します。
外側の黄色いウレタンは「スラブウレタン」です。
「チップウレタンだけ」では硬すぎるため、柔らかく、クッション性を高めるために使用します。
シンプルな構造ながら、スキップ1ミニソファのウレタン部分は10年保証!
座面と背もたれの中材はそれぞれで販売しているため、どちらかだけの交換も可能です。
ソファの製造工程②
生地のキルティング加工
ソファカバーになる生地にキルティング加工を施します。
ところ変わって、こちらはソファカバーの製造工程です。
まずは、生地と裏地の間に綿を挟んで縫製する「キルティング加工」を施します。
キルティング加工を施すことで、生地にボリュームが出て座り心地が柔らかくなり、生地がよれにくくなるためカバーの耐久性も上がります。
この機械は40年以上の年代物で、日本にはもう数台しか残っておらず、マニュアルもありません。さらに季節や湿度、生地と糸の相性によりコンディションが変わってしまうほど繊細です。
操作やメンテナンスが非常に難しく、この工程に携わる職人たちは様々な試行錯誤を何度も繰り返したとのこと。
「大変ではあるけれど、機械の調子が出た時は涙が出るほど嬉しい」と話してくださいました。
新しい機械を導入すれば、手が掛からずメンテナンスも楽になるかもしれませんが、古い機械を長く使い続けることで環境保全や商品のコストダウンに繋がると考え、今も大切に使い続けています。
職人曰く「この機械は手のかかる生き物のよう」。
様々な理由はあれど、シンプルに仕事仲間としての愛着もあるのでしょう。この工程に職人の心がこもっているのを感じる印象的な言葉でした。
ソファの製造工程③
生地の裁断
キルティング加工を施した生地を機械で裁断します。
裁断した生地のキルティングのラインがまっすぐになるよう、スタート位置に気を付けてセッティング。
裁断しやすいように一度バキュームでぺたんこにします。(ぺたんこすぎるとキルティングのラインが見えなくなってしまうので、調整しながら)
起毛している生地は、毛の流れる方向にも気を付けて。
座面は手前から奥に向かって毛が流れるように、背もたれは上から下に向かって毛が流れるように、座る瞬間に摩擦が起きない毛流れになるよう裁断しています。
キルティングが入った生地の裁断は難しく、以前は手作業でカットしていましたが、キルティング生地を使用したソファの人気が高まったことを受け、作業効率を上げるために機械化することに。
職人たちが機械の設定を微調整しながら試行錯誤を繰り返し、今はきれいに、かつての1/3の時間で裁断できるようになったそうです。
ソファの製造工程④
生地の縫製
裁断した生地をカバーに仕立てます。
切りっぱなしのままではキルティングの糸が端からほつれてしまうため、生地の端をすべて縫い合わせ、ファスナーを取り付ける部分にはオーバーロック(布の端がほつれないようにする「かがり縫い」のこと)をかけます。
スキップ1ミニソファの座面と背もたれは最後にファスナーでジョイントさせます。その際、座面と背もたれのキルティングのラインがずれないようにファスナーに小さく印を付けます。
縫製が一通り終わったら、座面のカバーと背もたれのカバーをファスナーで繋いで、キルティングのラインがきれいに揃っているかを確認します。
背もたれ側面に入れているステッチは、デザイン面でも強度の面でもとっても重要。
キルティング加工が施されている生地は厚みがあるため、きれいに縫製するには高い技術が必要となります。
ソファの製造工程⑤
上張り
完成した中材に、完成したカバーを取り付けます。
ソファの仕上がりに関わる大事な工程なので、検品を兼ねて、糸の飛び出しがないか、縫製がきれいか、細かい部分をチェックしながら作業を進めていきます。
スキップ1ミニソファはソファカバーがパンっと張ってきれいな仕上がりになるよう、中材に対してカバーがジャストサイズに設計されています。
そのため、カバーの取り付けにパワーが必要…だけど、力任せにするとウレタンが破損してしまう…カバーの脱着が少し難しいソファです。
写真のようにビニールをカバーとウレタンの間に挟むと摩擦が起きにくく、比較的スムーズにカバーを取り付けられます。カバーのメンテナンスや交換の際はぜひおためしください!
ソファの製造工程⑥
検品・梱包・配送
梱包直前の状態を写真で記録し、梱包します。
チェック項目は以下の通り。
・キルティングのラインが真っ直ぐになっているか
・キルティングのラインが背と座で合っているか
・キズ、汚れ、いびつな部分が無いか
・生地に匂いが付いていないか
・注文内容とソファのサイズ、数、生地が合っているか
確認後、ソファの状態を写真で記録し、梱包し、段ボールに送り状を貼って、あとは配送業者さんのお仕事です。
箱の中でスキップ1ミニソファがソワソワしています。お客様の暮らしになじんで、ご家族の素敵な思い出をつくれますように。
(取材&文:水嶋美和 撮影:森岡祐加 / 2020年3月)
※ 製造の効率化や商品改良のため、商品の仕様を適宜に変更しております。座り心地が変わる、デザインが変わる、価格が変わるなど、影響の大きい仕様変更を行う際はHAREMのHPにて詳細を掲載いたします。