コラム vol.73
金ネックの魔力
人は有史以来、もしくはそれ以前から宝飾品や服で自身を着飾ることに多くの労力を注いできました。それは女性のみならず、男性にも共通することでもあります。
なぜそのようなことをするのでしょうか?美しい物への憧れというものはもちろんあるのでしょうが、その根底には異性の獲得という理由がやはりあるのでしょう。
金ネック野郎
昔、友人と和歌山へ釣りをするため車を走らせていたときのことです。
大阪と和歌山を結ぶ高速道路阪和道は片道一車線しかないため渋滞することで有名で、案の定その日も渋滞をしていました。 渋滞の中車内で雑談をしていると、反対車線にきらびやかな装飾を施したバイクの改造車が群れをなして走ってきました。 しばらくそれを眺めていると、友人の一人がバイクの車体にシールで「金ネック野郎」と書かれているのを発見して、「ははは」と談笑した記憶があります。
ただ、そのときは「金ネック」の意味がよくわからなかったのですが、後々それは「金色のネックレス」の略語だったことに気が付きました。
たくましい人
自分の趣味が飲み歩くことであり、そうすると職種年齢性別問わず色々な人と出会うことがあります。
いつのことでしょうか。とても綺麗な女性と席が隣になり、なんとはなしに話が盛り上がったことがありました。 とても笑顔が素敵で、物腰も考え方もしっかりしており、彼女と色々と世の中のことについて話していました。それはそれは、とてもしっかりした人でした。
しかし、話の流れで今気になっている男の人がいるという話題になったときのことです。「ハゲていて、いつも茶迷彩のタンクトップを着ていて、首元に金ネックをぶら下げていて、やんちゃな人」ということを言い出しました。 「金ネックはありえないんだけど、無人島でも生活できそうなたくましさがいい」というのがポイントであるということです。
昔、倉田真由美という女性漫画家の本に「だめんず・うぉ~か~」というものがありましたが、その中に似たようなエピソードがあったなあとお酒で朦朧とした頭をかすめたのを覚えています。 その後どうなったのかとても気になります。
男らしい人
こう30年近く生きていると、「男らしい人」または「やんちゃな人」というものを目にする機会や実際に会話をすることも多々あります。 振り返ってみると、そういった方達の首元には確かに金ネックが光っていたなと思います。
有名なヒップホップのラッパーなども、成功の証として胸に「ブリンブリン」と呼ばれる金色のみごとな装飾を施した首飾りを下げる習慣があり、「金ネック」と「男らしさ」には国や人種の垣根を超えた人間の本能に根ざした相関関係があるのではないかと考えるのです。
よく週刊誌の広告欄にあった怪しい「幸運のネックレス」というのは、そういう意味では効果があったのかもしれませんね。