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ライフデザイナーだいごの四方山コラム
四方山コラム
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コラム vol.60
ユニバーサルデザインという名のクオリア

「ユニバーサルデザイン」という言葉を聞いたことはありますか?老若男女、国籍、身体の障害の有無関係なくあらゆる人々に優しいデザインという意味でいつの頃からか巷に広がっていきました。

 ふと、この概念を調べていくうちに昔目にした「クオリア」という哲学用語を思い出したので、この二つの関連性について少し考えてみました。

『ユニバーサルデザインとはなにか?』

 まずユニバーサルデザインとはどういうものかご紹介します。ユニバーサルデザインは1985年にアメリカで生まれ、従来の障害を持っている人にも優しい「バリアフリー」を包括する概念として誕生しました。

 このユニバーサルデザインには基本の「7原則」があり、

・「だれにでも公平に利用できること」
・「使う上で自由度が高いこと」
・「使い捨てが簡単ですぐわかること」
・「必要な情報がすぐ理解できること」
・「うっかりミスや危険につながらないデザインであること」
・「無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること」
・「アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること」

 以上の定義によって、様々な都市計画、建築物の設計などを行います。

『ユニバーサルデザインの実例』

 これらのポイントを守った一番身近な建築物を挙げるとすれば、障害者用公衆トイレが良い例でしょう。大きな引き戸、車椅子でも進入できる広い室内、体を支える取手、低い洗面台、非常事の場合の呼出ベルなど、基本の7原則に忠実に従った建築といえるのではないでしょうか。

 また機能面のみならず、「感覚」を重視したユニバーサルデザインは居住空間にも応用され、福祉国家と名高いヨーロッパのデンマークなどでは老人若者問わず住人がゆったりと心地良くくつろげる住居を採用しています。

 これらの例から分かることは、ユニバーサルデザインとは「機能性」「感覚」共に重視して初めて成り立つ思想であるという事でしょう。

『ユニバーサルデザインとクオリア』

 ここで、冒頭で触れた「クオリア」について簡単にご説明します。クオリアとは機械ではない人間特有の感覚でもある「感じ」を表す単語です。このクオリアが、ユニバーサルデザインの内包する矛盾を明らかにするような気がするのです。

「空が真っ赤な色をしている」「あの建物は不気味だ」など、誰しもが持ったことのある当たり前の感覚ですが、これは果たして全ての人に共通の感覚なのでしょうか。

 例えば、私が赤い太陽を見たとします。それを私は「赤」と認識します。隣にいる人が同じ太陽を見ます。彼もその太陽を「赤」と認識するでしょう。ただ、もしかしたら隣の人の主観で見えている「赤」は、私の主観の「青」で見えているかもしれないという事です。

 少し分かりずらいかもしれませんが、ここで言いたいポイントは、「私達が普段当たり前の共通認識だと思っている”感じ”が実は個人個人によって捉え方が異なるかもしれない」という事です。別の言い方をすれば「そもそも、この世の中に全ての人間が全く同じように感じる共感覚というものが存在しているのか」という疑問も浮かんできます。

 こういう事を突き詰めていくと、ユニバーサルデザインの7原則の中の「「だれにでも公平に利用できること」という項目に対して「だれにでも公平とは一体どういう事なのか?」というユニバーサルデザインの根幹を揺るがす問いが生まれてきますね。

「誰かに優しいという事は誰かにとっては優しくない、だから万人にとって公平なデザインというものは存在しない」。これが色々考えた結果出た私の結論ですが、皆さんも暇な時是非考えて見てください。いい暇つぶしになりますよ!

編集者のつっこみ

編集者のつっこみ

私の赤とだいごさんの赤も違うんでしょうかね!今度会った時に確認してみましょう。

コラム vol.61 イスラム建築の庭園