コラム vol.48
日本舞踊の上方流で有名な「山村流」とは。
「日本舞踊」または「日舞」と呼ばれる日本の伝統的な踊りについて耳にされた事がある方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、どこか敷居が高そうであり堅苦しそうなイメージがある事から、日常での接点がほとんどないというのが実情ではないでしょうか。
そこで、最近日本舞踊で有名とされる「山村流」の方の襲名舞台に同行する機会に恵まれたので、どういったものか取材も兼ねて行ってまいりました。
『日本舞踊とは』
そもそも、日本舞踊とはなんであるかすら知らないという方が世間ではマジョリティではないでしょうか。私自身も下調べも何もせず当日まで日本舞踊とは歌舞伎のようなものだと思っていました。
一口に日本舞踊といえど、その種類は多様であり『舞い』『踊り』『振り』といった要素によってジャンル分けされているようです。神道などでよく見られる「雅楽」などは「舞」、徳島県の名物「阿波踊り」は「踊り」、そして今回参加した「上方舞(かみかたまい)」は「振り」に分類されるという事です。
つまりは日本の伝統的な舞踊であれば「日本舞踊」になるため、歌舞伎のようなものというイメージもあながち間違ってはいなかったのかもしれません。
『山村流とは』
そして、今回参加した山村流は上片舞の名手として関西では特に有名です。上方舞は座敷のような狭い空間でに屏風を立て、その周辺で踊る特徴を持っている事から激しい動きではなくなめらかな動きが特徴的です。
よって昔は花街の芸妓さんや、良家のお嬢様方が作法のお稽古事のため山村流に入門をされていたようです。
『日本舞踊の演目とは』
今回の襲名披露公演は午前と午後の2部制であり、私はその日午後の部へ参席しました5時間くらいの長丁場になるという事で、3時間の長編映画「アバター」を見た時ですら貧乏揺すりが止まらなかった私の脳裏に不安がよぎります。
襲名される方はやはり一番最後に出演されるため、それまでは様々な演者が様々な演目を披露します。
- 「地唄」-あまり動きが激しくなく、滑らかな志村けんのような動きが印象的です。
- 「長唄」-地唄に笛や太鼓などの賑やかしが付加されています。
- 「義太夫」-グレート義太夫ではありません。歌舞伎のような感じでしょうか。
やはり、客層は50代後半以上の年代の方が多く見受けられますが、中には若い方もちらほらといらっしゃっいました。中には感動のあまり涙を流されている方もいらっしゃるので志村けんに見えてしまう自分はまだまだ未熟なのでしょう。
全体を通して個人的に一番良かったのが「曾根崎心中」の義太夫でした。全ての演目には何かしらのストーリーがついているのですが、この演目が一番初心者にもわかりやすいのではと思います。「曾根崎心中」といえば北新地の近くにあるお初天神が有名ですね。端的にいえばお金を貸したら返してもらえなくなり、zsあえなく恋人同士で心中してしまうという話です。
もちろん、襲名された方の舞台も華やかでとても素晴らしいものでした。千と千尋の神隠しをどこか彷彿とさせるような舞台と鳴り物。伝統文化というものはたまに見るととてもいいものですね。もし、新しいエンターテインメントに飢えている方がいたら是非おすすめです。