コラム vol.29
41年間続けるお寿司屋さん「中津川」。ふらっと立ち寄ってみました。
暑い夏が到来すると、食べ物の嗜好もそれまでと比べて変わってきます。
温かい食べ物を好んで食べていたそれまでと一変して、「ひやむぎ」「ざるそば」そして「お寿司」といった冷たいものが恋しくなってしまいますね。
さて、今回のテーマはその「お寿司」について、たまたま立ち寄ったお店のエピソードも交えて書いてみようと思います。
『暑い』
まとわりつくような湿気と暑さの中、私は夜の難波の街をフラフラ歩いていました。
途中、道頓堀近辺を通ると昨今話題のガールズバーのキャッチの女の子に声をかけられたり、中国人観光客の団体さんがガヤガヤと何やら楽しそうにしているのを見ることができるなど、キタとは違うエネルギッシュな雰囲気が漂うのがミナミです。
「お酒が飲みたくて力がでない・・・」とアンパンマンのような事を呟きながら、繁華街の中を歩いていると一軒のこじんまりとしたお寿司屋さんが視界に入ります。
『中津川』
「中津川」という屋号の看板が暗闇の中でぼんやりとした白い光を放っていました。
私の好奇心センサーがここだとシグナルを出したので、のれんをくぐって中に入ると6畳程度の広さの店内の中は、カウンターのみというシンプルな構成でした。
「これこそ、お寿司屋さんなんだ」
他にお客さんが誰もいなかったので、貸切状態の中瓶ビールを一本注文します。
キンキンに冷えた黄金色の液体をコップに注いで飲み干すと、「あ~」と自然に声が出てしまいました。
『お寿司と昔話』
ネタを何個か注文します。
高級寿司屋のような洗練されているような感じはないものの、町のお寿司屋さんといった感じのものが出てきて、なおかつそれなりに美味しく、そしてなにより安いのです。
途中、外から持ち帰りを注文するサラリーマンのお客さんが来たものの、その後他にお客さんが来ることはなく一人恍惚の時間を堪能していました。
それから、何がきっかけだったかは覚えていませんでしたが、店の大将といつの間にか話をはじめていました。
当たり障りのない天気の話から始まり、お店を開けて「41年」という話をしたあたりから色々と昔話を聞かせていただきました。
バブルの時期は、水商売のレディーの方々が始発までお店で時間を潰していたといった話をはじめ、大阪を代表する繁華街の第一線で見聞きしてきた貴重な話を聞いていると、「あー、なんか深夜食堂という漫画を疑似体験してるみたい」と悦に入ることができます。
そして、一番心に残ったこととして大将は病気をして大きな手術をした後も一人でお店を開け続けているというでした。
そして、私の「なんでお寿司屋さんになったんですか?」という質問に対しての「これしかできなかったから」という何気なくも本質をついた回答は色々と考えさせられるものでした。
チェーン店ではない、昔ながらの職人さんがやっているお寿司屋さんもだんだんと少なくなってしまうのかなと思うと少し寂しい感じがするとともに、いまのうちに行けるだけ行こうという変な使命感が芽生えた夜でした。
さて、なぜ私はソファー屋さんのページにグルメリポートを寄稿しているのでしょうか?
そして、それを容認してくれるHaremというお店もどうかしているのじゃないかとふと思いました。