コラム vol.26
イタリアンランチとやわらかい赤いソファにまつわる出来事。
6月は陰暦では「水無月」という呼称で呼ばれている事で知られていますが、私の誕生月であることは意外にも知られていないようですね。
今回は「イタリアンランチとソファ」について書いていこうと思います。
私は「食」をとても重視しており、一日3回、年1000回程度の貴重な機会をいかに無駄にする事なくおいしいものを食べ続ける事ができるか常に頭を絞っている味覚障害者です。
最近は、ディナータイムになかなか行くチャンスのないおいしいお店がリーズナブルな価格でたくさんの「ランチメニュー」を出しているので食べる私も大忙しです。
例えるなら「月曜から夜更かし」というテレビ番組で紹介された株主優待券で暮らしている「桐谷さん」のようなものでしょうか。
『イタリアンランチ』
とある暑い日の事、いつものようにお昼時においしいお店を探しにフラフラと歩いていると、目の前に「赤い」看板が目に止まりました。
その日は結構暑かったので、ちょっとこってりした中華料理を食べたいなーと思っていたら、その赤い看板に「油淋鶏(ユーリンチー)」といった中華料理のメニューが載っていたのです。
たたずまいは「イタリアン」だけど、メニューに中華があるなんて変わっているなと、その日はそのお店で食べる事に決めたのでした。
『赤いソファーとイタリアン』
お店は2階建てで、螺旋状の階段を登ると目の前に「赤い」ソファが並んでいるテーブル席が目に入りました。
席に案内されてまじまじとその「赤いソファ」を観察します。
素材は合成皮革の・・・ポリエチレンだったような気がします。
ポリエチレンは肌触りがよく撥水性に優れているので、飲食店ではよく見かける素材ですね。
ソファのやわらかさは固すぎず、やわらかすぎずのご飯を食べるにはちょうどよいバランスのとれたソファです。
しかし、そこで見たソファの一番の特長はその燃えるような「赤い色」でした。
赤は食欲をそそる色として知られています。
例えば暖色の白熱灯の下で食べるご飯と、蛍光灯の下で食べるご飯ならどちらがおいしいか考えてみると分かりやすいでしょう。
とにかく目に痛いくらいのきれいな「赤」だったのです。
『イタリアンのお店で食べるなら、やはり』
冒頭で中華が食べたいと言っていた私はそのソファに座ってすぐ「ああ、まあイタリアンの店にきて中華を食べることもなかろう」と普通に鶏肉入りのペペロンチーノを注文していました。
そのパスタはとてもおいしく、隣のお客さんがレシピを聞いていたくらいです。
そして、それ以上においしかったのはお手製の「パン」でした。
炭水化物オン炭水化物でしたが、おかわり自由だったのでたくさん食べました。
ソファの色と、お店の料理の上手さが相まって通常の5割増しくらいでご飯がおいしいと感じたように思います。
全てのお皿をぺろりとたいらげとても満足してお店を出ると、店員さんが入り口までお見送りをしてくださいました。
そして、かわいい店員さんがラップにくるんだパンを「食べてください」と手渡してくれたので、泣きながら食べて帰ったのは良い思い出です。
情熱の「赤いソファ」と「イタリアン」。
料理と色の組み合わせを考える際に参考にしていただければ幸いです。