コラム vol.23
ジャズから知ったちょっとためになる話。
さて、皆様初夏の候ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
今回は「ジャズから知ったちょっとためになる話」と題しましたが、私「マニア」というほどには詳しくありません。
マイルス・デイビスという有名なトランペット奏者の「Round about midnight」と呼ばれるちょっとブルージーな曲を聞いてからちょっと好きになったというくらいです。
最近、そんなジャズから派生してちょっと面白い事を思いついたので少し書いてみようと思いました。
『ジャズバー』
大阪の某所、たくさんの飲食店がひしめき合うビルの中、行ったことの無い所に行ってみよう病の発作が起きた私の目に留まったのは一件の「ジャズバー」でした。
中には、マギー司郎に似たマスターが立っており私はいつも通り安いバーボンを頼みます。
薄茶色の液体をソーダで割るいわゆる「ハイボール」というやつです。
そのマスターと何気ない会話をしていくうちに、かなりのジャズマニアである事が段々と分かってきました。
途中「ふらんきー〇〇??知ってる??」とたくさんのジャズミュージシャンの名前を出されましたが、ほとんど知らない私は「有名なのしか知らなくて、グルービーな曲が好きです」とお伝えしました。
すると、CDをどこからともなく取り出してグルービーなジャズをかけてくれてこれが結構かっこいいのです。
『流行り廃り』
で、その音楽が最近の曲かと思ったら1960年代の曲だったりするのですが、今でも充分聴けるくらいのクオリティーの曲で、「これかっこいいですね」と言ったらマスターのやる気スイッチが入ってしまいました。
マスターの口からたくさんの知らない単語が飛び交う中で、ジャズの時代背景についての話になりました。
ジャズというのは、アメリカが発祥の音楽ですが、1920年代のアメリカが好景気に湧いた時に人気が爆発し、その後時代が進むにつれ「スウィングジャズ」「モダンジャズ」といった具合にたくさんのジャンルが生まれてきたそうです。
そして、僕が冒頭で好きだと言った「マイルス・デイビス」はこのモダンジャズにあたるという事で「おー、なるほど」とちょっと勉強になりました。
「時代によって曲調が変わる」。
好景気に湧いた1920年代のジャズは底抜けに明るく、1960年代くらいの音楽は東西冷戦、ベトナム戦争などの影響か曲調がどこかブルージーなのです。
これは現代においても言える事で、前回ご紹介した「マハラジャ」などのバブル時代の音楽はどこか底抜けに明るく、バブル崩壊した後の90年代の音楽はどこか哀愁ただようわけです。
『作り手と受け手』
さて、今回私がこのコラムを書くに至った理由が「僕最近の音楽あんまり聞いてないから何が流行っているのか知らないんですよね-」という質問に対するマスターの一言でした。
「作っている人にいい人がいないのではなくて、聞く側の変化にも音楽が流行らない理由があるかもしれないよね」
これには久しぶりに「ピキーン」ときました。
大体いつも「作り手」にいい人がいないため音楽を聞かないという話が聞かれますが、その逆で「聞き手」にいい人がいないからいい音楽ができないという事は今まで考えた事がありませんでした。
つまり、名曲と言われる曲にしてもその曲の持つ雰囲気、歌詞のある曲であれば歌詞の持つ深みというものを理解できる「受け手」がいて初めて作品が成立するという事なのです。
『共同作業』
インターネットの出現で、情報量が出現以前に比べて飛躍的に増えました。
そのため、「良い」「悪い」を見分けるフィルターがたしかに衰えてきているような気がします。
以前ならCD一枚をレコード屋で買って、家で開封してジャケットを見ながら聞くのが一連の流れでしたが、今なら「youtube」でポチッてワンクリックですから。
では、どうしたら良い「受け手」になれるのか?
これに関しては、思いつく限り良いモノに常日頃から触れるしか手段がないように思います。
そして、その「良い」基準とはワクワク、落ち着くなどなんらかの形で「心が動かされる」かどうかで決まるのだと思います。
すなわち、素直に物事を見ることが大事です。
良い受け手が増えれば、良い作り手がたくさん生まれて、良いモノがたくさん世の中に出回る。
「卵が先かにわとりが先か」に近い「ふかーい」話でした。