木の風合いやぬくもりが好きな方には、無垢材(無垢集成材)の家具がオススメ!さらにウレタン塗装ではなくオイル塗装で仕上げているものであれば、表面を薄く削ってオイルを塗り直すことでキズや汚れを目立たなくし、長くきれいにご愛用いただくことができます。
このコラムでは実際に無垢集成材の家具をオイルメンテナンスしながら、方法や注意点などをレポートいたします!
用意するもの
HAREM 無垢材メンテナンスキット 同梱内容
・サンドペーパー(120、240、400)各2枚
・蜜蝋ワックス
・ウエス 2枚(今回は新品のフキンで代用)
用意していただくもの
・あて木
・ポリエチレン手袋
・タオル
・ビニールシート
(屋内で作業する場合:サンドペーパーをかけるとたくさんの粉塵が出ます。また、ワックスを落としてしまった時の床の保護のためにご使用ください。)
まずは表面をなめらかに!
モデルを務めるのは、長年大阪ショールームに展示していたオーク無垢材のTVボードです。
レポーターを務める私が買い取ろうとしたところ、夫に「何か汚くてイヤ」と断られました。確かに。この黒い汚れは消しゴムをかけても水拭きしてもとれません。脚がアイアンだから移動時に引っかかったのかな…?謎です。キズもしっかり付いています。
この子をオイルメンテナンスできれいにして、夫を説得したいと思います。
長い間頑張ってくれたから…
キズ、汚れ、日焼けのお祭り騒ぎです。とにかくこの真ん中に付いたでっかいホクロみたいな汚れを消したい。サンドペーパーでオペを開始します!
まずは目が粗い120のサンドペーパーで削ります。当て木は持ちやすいサイズで汚れてもいいものなら何でも大丈夫です。
説明書には「最初は縦横まんべんなく」と書いていましたが、頑固なホクロ汚れを消すためにかなり大胆に削りました。
やりすぎたっぽい。
汚れは薄くなりましたが、キズが気になります。まぁ私が付けたんですが。不安でいっぱいです。
でも、まだ「縦横まんべんなく」の縦しかしてないから!横にも削ればきっと大丈夫!
実際、横に削ると若干縦のキズが薄くなりましたが、限界がありました。これどうなっちゃうの。
次に240のサンドペーパーを木目に沿ってかけて、表面を滑らかにします。残ったキズはきっとこのサンドペーパーがなんとかしてくれるはずです。
マシにはなった!
あー、でも、ひどいキズだなこれは… でも大丈夫。テレビボードっていうのはテレビを乗せて使うものですから、きっと大丈夫ですよ。このキズは見えなくなる運命にあるし、本当心配しないで大丈夫。全部大丈夫だから。だってほら最初と比べて絶対こっちの方がきれいになってるから。遠目に見たら。
サンドペーパーでの作業は視野が狭まりがちです。ハイになったりムキになったりしやすいので、お気をつけくださいませ。
準備するものに「冷静な心」を追加してください。
120のサンドペーパーで表面を薄く削って、キズや汚れを目立たなくさせる。
240のサンドペーパーでより薄く削りながら、木目になじませていく。
仕上げに400のサンドペーパーで表面を滑らかにしていくイメージです。
表面の状態を確かめながら、冷静に、少しずつ、削っていきましょう。
ちなみに今回は普段手に触れる機会の少ないTVボードなので、ズボラして400のサンドペーパーを省略しました。テーブルなどの日常的に触れる家具をメンテナンスするときは使ってくださいね。いやテレビボードもやった方がそりゃいいんだろうけど、240でだいぶ気持ちよくなったから満足しちゃって。
一通り削り終えたら、固く絞った濡れタオルで木屑を取り除いてください。オイルを塗る前なので、入念に! その後、表面が完全に乾燥するまで待ちましょう(約20〜30分)
いよいよワックスを塗ります
表面に木屑がなく完全に乾いている状態を確認したら、蜜蝋ワックスを塗っていきましょう。蜜蝋ワックスは木材への浸透率がよく、自然塗料なので体に優しく、ほんのり甘くていい匂いがします。
蜜蝋ワックスを少量ずつウエスにとり、木目に沿って伸ばしていきます。 写真はフキンを代用していますが、メンテナンスキット付属のウエスをご使用ください。
あれ、かなり…いい!?
全体的に色が濃くなり、さっきまで憂鬱の種だった細かいキズたちが目立たなくなりました!気分良くワックスを全体的に伸ばしてゆき、自然乾燥させて、これで完了です!
めちゃくちゃいいじゃないか。
この距離で見たら新品同様!諦めなくてよかった!オイルを塗ると割と万事OKになるという発見をしました。
ちなみに今回の所要時間は待ち時間も含めて2時間ほど。HAREMのローサイドテーブルであれば約1時間ほどで完了します。
オイルが染み込んだウエスは自然発火の恐れがあるため、必ず水に浸してから袋に入れて処分しましょう。
無事に夫を説得でき(必死さが伝わったとも言える)、家に迎えることができました。 時間と手間をかけてきれいにした家具は愛着もひとしお。見るたびににんまりしてしまいます。
手入れするほどに、愛着も味わいも増していく
無垢材は環境によっては反りや割れの可能性があったり、オイル仕上げのものを水拭きすると表面がざらついてしまったり、一筋縄ではいかない事もしばしば。
ただその一方で、キズやシミは木に味わいを持たせ、時間をかけてその家オリジナルの家具に育っていきます。 また、こんな風に数年に一度お手入れをしてあげる事でもう一度輝きを取り戻します。長く、美しく、かつ味わいと愛着を増しながら使えるのが無垢材の最大の魅力です。
木の風合いを楽しめるオイル仕上げ、水拭きOKでメンテナンスしやすいウレタン仕上げ、ご家庭の環境やお好みに合わせてお選びくださいませ!
(文:水嶋 美和)